人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

コンクール(4/4)

●全国大会
2014年3月XX日。
全国大会は本選と同じ曲を弾く。

キッズ部門は20名が参加。いかに全国大会とはいえ日本中のキッズヴァイオリニストが東京に集えるわけもなく、主に埼玉、神奈川など関東近郊の参加者がほとんどを占めていた。


今回は、あえて演奏をすべては聴かなかった。
理由は簡単で、「よそ様と比べてしまうから」。


ゴルフ界のトッププレイヤーであるタイガー・ウッズは、一緒にラウンドを回るプレイヤーがパットを叩くとき、「入れ!」と念じるそうだ。勝負ごとにも関わらず、隣の敵の成功を願う。「ゴルフは自分との戦い」とよく言われるが、つまり人の成功と自分の成功は別物ということなのではないだろうか。だとしたらヴァイオリンも同じだと思う。

とはいえまだまだ未熟な私たちは、ほかの子の演奏をあまり聴かないことで精神の安定を保つことに。そう簡単にウッズにはなれなかったが、まずは本選から一週間、がんばった長女の結果だけを判じようと決める。

いかに心を無にしようとしても、音はロビーにも漏れてくる。さすがは全国大会、いい音を響かせている子が多い。一瞬焦りかけるが、いやそうじゃないと思いなおした。「この子たちもヴァイオリンが好きな同志なのだ。成功を祈ろう」と思うように。すると、なんだか気分が軽くなってくる。そして一週間、長女と一緒にがんばったポイントポイントを思い浮かべて、うちの子も失敗しないといいな。成功してくれるといいな。そんなことを考えて出番まで待った。


ギリギリに入場しても迷惑なので、長女の出番の数名前から客席に座り、いくつかの演奏を聴くことに。やはり全国大会。みなさんとてもお上手。うまくいきますように、と心をこめて聴くと、ステージで一生懸命弾いている子たちの努力の陰がチラホラと見えてきて、それぞれのいいところがハッキリとわかった。これはすごいことだ。仕事にも生かせそうな体験をして正直自分でも驚いた。


長女の演奏は、練習してきたことをほぼ網羅できていた。
出だしで一番注意したかった音程を外したときは、思わず苦笑い。しかしその後持ち直し、最後までテンポよく強弱の豊かな仕上がりを披露できた。本選で指摘されたビブラートの幅と音程のズレは、ほとんど直ったと思っていいのではないか。そんな安堵から、ほっと一息ついて自然と笑顔になっていた。


結果は2位タイ。最高位である審査員賞をいただけた。努力を認められた気がして、長女、私と妻はもちろん、予選本選を通じてすべてを観覧してくれた私の両親も一緒になって喜んだ。


講評は今まででもっとも厳しく、テクニカルな指摘が多くなっていた。それでも点数は今までで一番高く入れてくださっていた。これは“年長さんにしては、よくがんばりました”という域から一歩先に進めたということではないか。「さあ、ここからがヴァイオリンのスタートラインですよ」と扉を開いてくださったのではないか。そんな気がして感慨深いものがあった。


だから、家に帰ってからも20分程度ではあったが、ちゃんと弾かせた。


長女の顔が少し大人びて見えた。


講評をいただいたことで、次の指標も見えた。これから毎日、何をどう進めていくのか。日々日々考えていくことになる。

陰のMVPは二女だ。
姉に集中するレッスンに不平を言わず、自分のピアノの課題曲を黙々とこなしていた。この子あっての姉の審査員賞だと思う。



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