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人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

生まれてはじめてのギャラ

なぜヴァイオリンを持ってきたのか。

それは、日本とは違う場所で弾かせてみたかったから。そしてもうひとつの理由がありました。さあご披露です。

夕飯をビーチのホテルでとることになり、家族15人ほどの総出で一角を占拠。食事と会話とお酒が進みます。日が傾いて青紫に鈍くゆれる海を眺めながら最高のお料理をいただく。あとはデザートというときに、レストランの人が目で合図をくれました。「やるよー」と声をかけると娘ふたりは持ってきたヴァイオリンをいそいそと取り出します。

近くのテーブルに座っていたマダムが「まぁなんてかわいいヴァイオリン! あなたたち、それ弾くの? 聞かせてくれるの?」とウキウキしています。ほかのお客さんたちも興味深く娘ふたりを見つめていました。

そして、私の母にハッピーバースデー・トゥー・ユーをデュオで演奏!

レストランからは大拍手、アンコールという声まで聞こえてくるほど。「ほら、せっかくだから発表会で練習していたバッハのデュオ、やってみて」とせかすと、長女は恥ずかしがっていやがりましたが、なんとか弾かせてみました。

しっかりとハーモニーをつくり、再度大きな拍手。発表会仕込の礼をして、最後の大きな拍手をいただきました。

母は大満足。娘たちもやりきった感があったのか、とても満足そう。

すると、「すばらしかったわ!」とか「あなたが今日お誕生日なの? おめでとう」と声をかけに来てくださるかたがたくさんいらしてびっくり! なかでも一番驚いたのは「できればこの子たちにアイスクリームでも買ってあげてくれる?」とマダムが私にお金を手渡してくれたこと! 娘たちよ、お前らの生まれて初めてのギャラは7オーストラリアドルだったよ!

ただまあ、なんというか。

……この国、USドルしか使えませんけど。

一生の思い出です。お守りにしよう。




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