人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

後続への架け橋

ヘンデルソナタには偽の曲があるそうです。楽譜を売る出版社が、曲数を水増しするために別の人が作曲したソナタを付け加えて販売したことが原因とか。

 

それはそうとヘンデルのヴァイオリンソナタは、初心者の練習曲として最適らしく、みなさん演奏なさるみたいですね。ヘンリク・シェリングが晩年にチェンバロをバックに弾いた音源が残っていてお手本のような出来になっています。

 


Henryk Szeryng plays Handel's Violin Sonata, Op.1 ...

雑みのない、とてもいいお手本。

 

アメリカで大成功をおさめたシェリングがどうしてこの曲を晩年に録音したのか、なんとなくわかる気がします。基本に戻る、後続を教育する、この二点においてこの曲を残すことに意義があると感じたのでしょう。

 

ヴァイオリン弾きにとっては最初の難関となる曲にフリードリヒ・ザイツのコンチェルトがあります(女優・歌手マレーネ・ディードリヒのヴァイオリンのお師匠でもあります)。タイトルに“学生のための”とついているだけあって、あくまでも練習曲。長女も5歳で弾きました。二女も今第三楽章を一生懸命弾いています。そんな子供のための曲ですから、手本の演奏はみなさんピアノをバックに弾いています。わざわざオーケストラをバックにするほど“ひき”がないんですよね。

 

が、パールマンはオーケストラをバックに弾きました。イツァーク・パールマンという人は人格者として名が知れています。その評判から鑑みるに、この選曲は後続の子供たちに向けて残してくれたのだと思います。本当に一切の手抜きのないすばらしい演奏で、感化された私は5歳の娘にこのクオリティを求めてしまい、何度か無茶をさせました。

 

こういう先人たちの架け橋を、娘たちは渡っているんだな、と思うと、襟を正す思いになります。長女もヘンデルソナタが大好きのようで、嬉しい限りです。




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