人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

速さと正確さ

楽器は速く弾ければいいというものではなく、かといって正確なだけの演奏だけでも退屈で、いかに聴く人の気持ちを退屈にさせずかつ気分を害させずに弾き切るかというのが大事になってきます。

 

長女はイングウェイでも目指しているのかと思うほど速弾き至上主義で、そもそも音のよしあしをあまり振り返らずに突っ走ってきたタイプ。周囲の先生やお偉い本には必ず「音を良くするほうが先」と書かれていましたが、知るか、と半ば無視して本人のやりたいようにやらせていました。

 

二女は人間音叉を目指すのかと思うほど音程に厳しく、特に弓が駒の近くを弾きすぎたときに生まれる「きゅっ」という音が大嫌い。あの黒板を爪でひっかいたような甲高い音を出さないようにとにかく集中するせいで、曲のテンポが遅い。これはヴァイオリン経験者には褒められるので、姉と同じくやりたいようにやらせていました。

 

七歳の長女は少しずつ音に対するこだわりが生まれてきて、弓の持ち方も注意を払うようになってきています。二女は姉がさらさらさらっと弾き切ったザイツを覚えているのか、少し速さに興味を持ち始めています。

 

どっちの能力にたけているから向いている向いていないなんて関係ない、最後は本人の意思だと思って育ててきましたが、やはりそうなりました。本人が「こう弾きたい」という気持ちが出てこないと、どんなに矯正したところで自分のものにはならないのだと思います。

 

本人がやりたいと思ったことをまず極めさせ、そこにプラスアルファで別のことを要求したほうが、子供を褒めやすいんです。

 

「とてもいい速さでかっこいいね! その速さで音程が完璧ならもっとすごい!」

「音が正確で気分いいよ! もっと速く弾けたらかっこいいな!」

 

今のところノリノリで調子に乗りまくっているふたりです。……単純な人たちでよかった。




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