人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

長女、大号泣

長女のヴァイオリンの課題は「音程」「リズム」「ボウイング」です。……あれ、全部では? まあヴァイオリンという楽器はどれかひとつ出来なくても目立ちますので、全部まんべんなくパーフェクトにしていかなければならないわけでして。

 

音程は前にくらべるとずいぶんよくなってきたと思います。しかしそれでも甘いのが三の指。つまり薬指。キレイな音を出すためにもチューナー練習をしなければならない時期です。

 

リズムのブレはピアノの先生にも指摘されるのですが、長女は走るクセがあります。拍内に音符が収まらない弾き方をしてしまうと、全体のバランスが崩れてしまう。だからここは重点的にやらなければならない。メトロノーム練習が課題です。

 

ボウイングつまり弓の使い方はヴァイオリンの弾き方のほぼすべてと言っていいくらい最重要課題です。弓元だろうと弓先だろうと安定した音量と音質を保ち続けられるだけのコントロールが必要。そのためにはロングトーン練習が最適でしょう。

 

すべてを組み合わせますと、チューナーを使いながら、60くらいのテンポ*1ロングトーンのスケール練習をするのが一番よい。最近、これを長女に課したわけです。

 

妻は理屈もあわせて言い含め、絶対に必要な練習だからと念を押したのですが、長女はどうしても速く弾きたがったり、注意されるとふてくされたりします。さすがに見かねた妻が「そんな程度の覚悟ならもういい。ヴァイオリンは趣味で続けていいから、世界一になるって言った言葉を今ここで取り消しなさい!」とヴァイオリンを取り上げて叱りつけたのです。

 

そしたら、大号泣。

 

「うわぁぁぁぼおううぇぇぇぇぇ」と何を言っているのかわからない。妻が見かねて私にヘルプを求めてきたので長女に電話したのですが、しゃべろうとするとすぐに「わたしねうぶうああああぶおおえええええ」となるので会話になりません。数分後ようやく落ち着いたころに話を聞きだすと、どうやら長女は

 

「ヴァイオリンを辞めなさい」

 

といわれたと思ったらしく。シドニー・シェルダンも真っ青の超訳っぷりです。誰も辞めろなんて言っていないこと、今の練習がどれだけ面倒で大変かパパもママもわかっていること、どうしてこの練習をしなければならないか、この練習を続けるとどうなるのか、とつとつと子どもに分かる言葉で説明しました。半分くらい納得したあたりで、再度話しかけます。

 

「ヴァイオリンは好き? ヴァイオリニストにまだなりたい?」

「好き。なる」

「じゃあ、小学生のうちに日本一を目指そうか」

「なれなかったら?」

「目指した結果が10位でも20位でも、よかったねって喜ぶよ。それでも十分すごいことだからね。もちろんやめろなんていわない。でも最初から一位を目指さなかったら一位にはなれないよ」

「わかった。目指す」

「そのためには、さっきやっていた練習を面倒でも毎日やらないといけないよ?」

「やる!」

「じゃあ、ママに謝っておいで」

「……こわい……パパかわりに謝って」

「自分でやっちゃったことは、自分で解決しよう。それはこれから大人になるあなたにとって、とても重要なことだから」

「でも……」

「ママにはちゃんとパパからお話しておく。だから自分から練習するってことをママに伝えなさい。わかった?」

「はい」

 

というわけで、その後長女さんはメトロノームロングトーン練習をがんばったそうな。めでたしめでたし。基礎力、これから積み上げていこうね。

 

ではまた。




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*1:1秒に1テンポのこと。60bpm(beat per minite)という意味です。