人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

新先生、初レッスン

とうとうこの日がやってきました。長女、新しい先生にレッスンをつけていただきます! バスもしくは電車を乗り継いで行く距離なのもありますが、娘たちの楽器道を見届けることは私にとってもはやライフワークとなりつつありますので、当然ついていきます。邪魔しませんから。横から口出しませんから。お願い見学させて。

 

マンションの一室にあるレッスン室に到着した私たちは、前の時間にレッスンにいらしていたご家族とすれ違います。育ちのよさそうな、頭よさそうなお子様がたでした。

 

教室でご挨拶して長女はいそいそとヴァイオリンをケースから取り出します。先生は体験レッスンをつけていただいたときと、まったく変わらないテンションと口調で、娘に話しかけてくださいます。「今やってるの、全部聞かせて」

 

・セヴィシック

・小野アンナ

・カイザー

・鈴木教本七巻

クライスラー「プレリュードとアレグロ」

 

すべて見ていただけました。「こんなにやってるの? 少し減らそう」とあきれてらっしゃいましたが。

 

体験レッスンのときとまったく変わらない内容でした。娘が弾き、違うところを途中でとめて先生が圧倒的な音質で演奏。「やってごらん」といわれて必死でまねする長女。問題なければそのまま進み、だめなところは何度でも弾きなおしてくださる。そして再び「やってごらん」。

 

ほとんど会話らしい会話がない。全部音で会話している。「そこはレガートで弾くの。いい?」と言うと、ばばーーっと弾いてくださり「やってごらん」。長女、必死で喰らいつき「そう、そうそう、それでいいよー」と声をかけてくださる。

 

長女が先生に教えていただきたいと思った理由のひとつが「先生の音、大好き」だからでして、その言葉を裏付けるように模範演奏を聴いているだけで幸せそうにしています。その音に近づこうと必死で弓を動かすので、演奏のレベルがだんだん似てくる。レッスン時間も四十分だったのが一時間に延びましたので、やれることが増えている。そして先生が弾いていると、長女は弾きたくてウズウズしてくるようで、それが絶妙に相乗効果を生んでいる。

 

これはちょっと、すごい体験です。

 

私たちがどんなに口で言っても伝わらなかったことが、ほんの一瞬で通じあってしまう。元のお師匠もとてもすばらしい音で鳴らす方でしたので、長女は弾いてくれるとうれしそうにしていたのですが、ここまで弾き続けてはくださいませんでした。

 

長女がノっているのがわかったのでしょうか、レッスン時間が残り五分にもかかわらず「じゃ、クライスラーも聴かせて」と。いやいや、プレアレは五分じゃ終わりませんぜ? しかしかまわずレッスンをつけてくださり、結局十五分以上オーバーしてみてくださいました。

 

お礼を言って教室を出た瞬間、妻はふかぶかとため息をつきました。きっと緊張していたのでしょう。長女はケロッとした顔で「あー楽しかったー」とうきうきしていました。

 

ひとまず、相性がよさそうでホッとしています。

 

こぼれ話はまた明日。

 

ではまた。




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