心には心で
長女のヴァイオリンのレッスンは週に一回のペースです。今まではもう少し間があったので、比較的余裕をもって弾き込んでいられましたが、中六日しかないと、平日の時間がない中でコツコツと弾いていかなければなりません。これはひとつの試練です。
前回、クライスラーの『プレリュードとアレグロ』、バッハの『ヴァイオリン協奏曲第1番』第一楽章を見ていただき、修正点などをご指摘いただきました。そして「第二楽章は弾いた? こんなやつ」とおっしゃって、エモーショナルなアンダンテ*1を披露してくださいます。そして
「この曲はね、難しいよ。とてもとても」
と。先生に「難しい曲」といわれることがどんなことかくらい、小学一年生でもわかります。そのときは初レッスンだったので緊張を引きずって家に帰り、さっそく譜面をさらってみることに。……がしかし。
「あれ、そんなに難しい?」
とサラッと弾いていた長女。
譜面を読むだけならたぶんカンタンだろうけど、先生のおっしゃったのは「聴かせる」のが「難しい」という意味だよ……。と言ってもわからないだろうから、とにかく自分が美しいと思うところまでがんばってね、ということで見守りました。
案の定、二回目のレッスンでガッツリねじ込まれます。「もっと丁寧に弾いて」「譜面の拍をちゃんととって」「フォルテで弾かないで。ピアノだよ?」初回はさんざんでした。「そんな曲じゃないよ?」と言われて、さすがの長女も「難しい曲」の意味がわかったことでしょう。
でも傍で聴いている親の身としては、とても嬉しいことでした。大学教授などお忙しい方に教われば、きっと「これくらいは下見の先生にみてもらっておかないと、時間がもったいないよ」と呆れられることだと思います。にもかかわらず「僕が見ます」という態度を崩さずに、しつこく、丁寧に見てくださっている。
ならば、心には心で返さなきゃいかんよな、長女。
レッスンの最適化にも気合が入ります。
ではまた。
*1:andante。「歩くような速さで」