人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

モーニングコンサートの雑感

先週の木曜日にあったモーニングコンサート、妻と二人で出かけてまいりました。

 

もちろんお目当てはブラームスのヴァイオリン協奏曲ニ長調。略してブラコンです。この曲、前奏が長い! 軽く2分半あります。ただ、そのオーケストラ部分があまりにもかっこいいのでまったく気にならないというだけで、クラシックをそこまで好きではない人だと「真ん中に立っているヴァイオリニストはいつになったら弾くの」と思うのではないでしょうか。

 


ブラームス ヴァイオリン協奏曲 第1楽章 ハイフェッツ - YouTube

 

参考までに現代のヴァイオリニストの主流を象ったわれ等がハイフェッツ大先生の寸分の狂いも無い正確無比な演奏をこちらでご覧ください。カデンツァは変態技です。

 

こともなげにスラッスラ弾いてますが、難易度はかなり高いです。ヴァイオリン協奏曲でもトップクラスではないでしょうか。これを聴いて「なんだか私にも弾けそう」と思った未経験者の方、機会があったらヴァイオリニストにそう言ってみてください。きっとその人の腰が砂の城のようにサラサラと崩れ落ちると思います。

 

とまあ予習もばっちりで挑んだモーニングコンサートでしたが、その前に演奏されたドルマンの『フローズン・イン・タイム』がすごかった! 演奏した石若駿さんにはわれんばかりの拍手が贈られていました。

 


フローズン・イン・タイム - YouTube

 

かっこいいですね! オーケストラの先生たちもノリッノリで、コンミスの先生を筆頭にみなさん頭をリズムに乗せながら弾いてらして、オーケストラを巻き込んだ音楽の渦ができあがっていく感じがとても気持ちよかったです。

 

ただ、まあ、打楽器というのは人間の原始的な感情に訴えかけますから、ヴァイオリンとはちょっと立ち位置が違う。私はこれを『打楽器補正』と呼んでおり、この大歓声の8割くらいが真の評価ではないかと思っています。

 

とはいえ素晴らしかったのは本当なので、石若さんの今後の活動には注目です。

 

さて、お目当てのブラコンを弾いてくれるのは三輪莉子さん。いやあ、さすが藝大生。うまいのなんの。この難易度をこんな風に弾いてしまうのね。ときおり音楽が切れていましたが、これはもう仕方ないんじゃなかろうか。走りこみしておいてくださいとしか言いようが無い。それくらい疲れるはずです。第二楽章はオーボエの音がとても美しかったなあ。

 

ここで先日の学生音楽コンクールの小学生の演奏を思い出しますと、6年生から大学4年生になるまでの10年間でどれだけの研鑽があったのだろうと思いを馳せてしまいます。名だたるコンクールに入賞し、モーニングコンサートのソロを任されるまでの時間を考えると、書きながら若干目頭が熱くなりました。

 

もっと派手な活躍をしている方もいらっしゃることでしょうが、肉体的なハンディキャップや生まれ月などの運もあるでしょうし、早熟がすべてとも思えないわけです。だけど世の中は天才崇拝主義ですので、早熟奏者のほうがもてはやされる。こればかりは人の心理ですから仕方がない。芸の道というのは本当に罪なものです。

 

スポーツや芸道はやはり衆寡より抜きん出て衆目を浴びる人でなければ、95点の才能があってもつぶれる人もいるんだろうな。

 

モーニングコンサートの舞台に立つ子たちには、まるでわが子のように、いつも心の中で「がんばれ、がんばれ」と言っています。今後も言い続けるでしょう。

 

ではまた。



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