お客を意識させるアジテーション
ヴァイオリン道を進む長女には、長所がたくさんあります。
・弾くのが好き
・ヴァイオリン曲を聴くのも好き
・テクニックを怖がらず楽しむ
・練習を怠らない
・新しいことを教えてもらえるのが大好き
こういう面では「向いてるなぁ」と思えます。
しかし一方で当然ながら短所もあるわけです。
・雑
もうこれに尽きます。特に音程と音符に対する誠意が感じられない。
彼女の心理状況は想像がつくのです。「なんとなくできていて、合格をもらえれば次の新しい曲が弾ける」というミッションクリアに情熱を燃やしているため、「その曲を細部にわたって完璧に仕上げていくこと」に魅力を覚えないのだと思うのです。
ああ……若いころの自分にそっくり! 確かに、マリオのステージを端から端までジャンプして隠しブロックを探すようなシツコさは無かった。長女ごめん、それ遺伝子かも。
しかし! 遺伝のせいにしていても一族の繁栄はありません(?)。そもそもこの程度のことは意識変革ひとつで後天的に是正できる……はず!
そこで、長女に「客の心情」を意識させてみようと思い立ちました。最近音程についてはしつこいくらいにダメ出ししていますので、言われ慣れ始めているのが気になっていたのでちょうどいい。これを利用しよう。ひととおり音程にダメ出ししたあとに、話をしました。
「いっとくけどね、パパはこんなにダメダメ言っているけど、長女はすごいんだよ? パパはこんなに難しい曲弾けないし、毎日こんなに一生懸命に練習できないもの。でも、“お客さん”は好き勝手言うよ。自分はしないくせに、あなたが毎日練習していることなんて『当たり前』だと思っているし、どんなに早弾きができても『音程を外すなんてあの子下手ね』って言うよ。そういう人たちに『すごい!』って思ってもらいたいなら、パパにバレちゃうくらい音程を外すのはダメー。汚い音もダメー」
長女の闘志に火がつきました。さー、毎日火元を扇いで、炎を大きくするぞー。
うちの子限定の方法ですが、『前向きに煽る』。これ、効果的です。
ではまた。