人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

演奏、交流、そして結果

長女、とうとう就学後初のコンクール全国大会に出場いたしました。昨年の夏から『前奏曲とアレグロ』の譜読みをはじめ、先生が替わり、生活も一変した私たちにとって、まずは第一の試練です。結果はもちろん気になりますが、こういう場でどこまで練習でやってきたことを出せるのかがもっとも気になるところです。

 

ギリギリまで自宅で練習し、電車を乗り継いで会場へ。親は少しピリピリしていたでしょうか。でも長女はいつもどおりのんきにはしゃいでいます。現地に着くと前回の本選で顔をあわせたお子さまやそのご両親、同じ門下の方々とご挨拶。予選で伴奏をつけてくださったK先生や、本選と全国大会で伴奏をつけてくださるY先生ともご挨拶。こうやって徐々に顔なじみが増えていくものですね。

 

本番前にほとんど会話をすることもなく、「がんばってね」「うん、やってくる!」と笑顔の長女を送り出し、私たちは客席へ。しばらくするとY先生と一緒に堂々と舞台に出てきました。いろいろと不安はありましたが、演奏が始まるとどんどん集中を高めていくのが伝わってきます。音程を外したところ、練習したのに綺麗に決まらなかったところは、親の私たちにしかわからない。だから「粗いなぁ」という感想はどうしても抱いてしまいますが、それでも昨日先生に「素晴らしい」と褒められた演奏に近いものが出ています。弾ききると拍手をたくさんいただき、長女も満足そうに退場していきました。私もおおむね満足。夫婦して「よかった……よね? うん、よかった……はず」と半信半疑なまま成果を確認。

 

ロビーに出ると、ドレス姿のまま全速力で走ってきて、「どうだった!?」とものすごい笑顔。「よかったよ! がんばったじゃない!」と伝えると「でしょ! 昨日先生の前で弾いた演奏の“次に”よかったと自分でも思う!」とはしゃいでいました。

 

結果が出るまで応援団長のじじばばを交えてレストランで夕食。発表の時間には私たちと長女の3人だけで行くことに。「期待しないこと。期待しないこと。期待しないこと」と心で言い続け、張り出された紙を見に行きます。すると期待をはるかに超える結果が書かれていました。何度も目を疑いましたがどうやら本当らしく、妻と二人でしばらく呆然としてしまいました。

 

長女大喜び。「やったー! おもちゃ買ってもらえる!」……そっちか。そんな約束したねそういえば。

 

同門同士で健闘をたたえ合い、予選本選とそばで弾いてきた男の子とも挨拶をし、コンクールを終えました。私の父母は結果に満足そうで、「でしょう。本当によかったもの」と納得していました。

 

家に帰ってからのこと。お風呂も終えて始業式を控えた夜。「がんばったね。でも鬼と言われてもいいけど、15分でいいから弾きなさい。それが『ほんのちょっとの差』になるんだから」と伝え、姉妹でドッペルを弾かせてから寝かせました。

 

妻は結果を先生、伴奏の先生、お師匠(前先生)、ピアノの先生、本選にかけつけてくれたお友だち、長女の刎頸の友、長女のお友だち仲間、自分の両親などへ次々と連絡をつけていきます。動画をご覧になった先生からも早速ご指導のメッセージをいただきました。

 

ひとつこの場をお借りして謝辞を。長女の練習について悩みをつづりつづけた際に、コメントやアドバイスをくださった皆様、そしていつも読んでくださっている方々、本当にありがとうございました。私はもちろん長女も、皆様のおかげで前に進めております。まだまだやることがたくさんありますので今後とも見守っていただけると幸いです。重ねてありがとうございました。

 

さあ、形はついた。次に行くぞ!

 

クリックくださると姉妹が自信を持って練習に励みます
親は晴れやかな気持ちをいったん脇に置きます

 

ではまた。