人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

『おしい』とか『近い』とかは無い

長女、ヴァイオリンのレッスンがありました。先日のヴァイオリンの駒がズレた件をお話しすると、「ああ、毛箱よくぶつけちゃうんだよね」と笑っていらっしゃいました。しかし「じゃあ直すから少し時間あります?」とはおっしゃいません。先生、これから実はとってもお忙しいらしく、長女の楽器を見ている余裕はなさそうなのです。

 

そんな多忙な先生でも、レッスンはみっちり見てくださいました。

 

まず6thの重音。全部の調のうち2/3に合格をくださった時点で「もう6thはやってこなくていいよ。次、8thやってきてね」とお達しが。3rdは長女の要望で全部見ていただきましたが、長女もどうやら3rdの後半で「ああ、この形、前にやった。だから先生はもうやらなくていいよって言ったんだね」(おっしゃった、だろ)と気づいたらしく6thのときはそこまで「全部やりたい」とは言いませんでした。

 

続いてセヴシック……あれ、この教本、なんか変……Op.1だああああ!(長女の教本はOp.9。要は9巻ではなく1巻を持ってきてしまったということ) どどど、どうする?

 

「え? 暗譜しているからいいよ」

 

先生もあまり気になさった様子はなく、二人とも教本なしで「もう少しレガートで弾いて。あと音程ぴったり!」といつもどおりのレッスン。なんだか大人な世界だなあ。でも家に帰ったら教本の表紙に大きく巻数を書いておこうと誓いました。

 

カールフレッシュも同じようなご指導。音程、リズム、テンポを正確に。特に音程は先生ならではのご指導が入ります。そして「音程の取り方を完璧に知っているのがハイフェッツ」とおっしゃっていました。ははあ、さすがは正確無比なミスターパーフェクト。完璧には理由があるんですね。

 

指番号の間違いも指摘いただき、翌週までにふたたびブラッシュアップしてくるようにとのこと。「とってもよく練習しているね。それはわかるよ。でも、音程は完璧じゃなきゃダメ。『おしい』とか『近い』とかは無くて、合ってて当たり前」と先生理論が炸裂しておりました。着いていこうね、長女さん。

 

パガニーニのカプリス13番はsul指示を無視して弾いていたりアップダウンを適当にさらっていたりしたせいで、だいぶ弾き方の修正をいただきました。まだ曲想のご指導までは入りません。当然ですけど。

 

そしてヴィエニャフスキの『華麗なるポロネーズ』も一緒でした。sul指示をちゃんと読んで! ……私たちもちゃんと監督できていないんですよね。正直もうそろそろ楽譜が複雑になってきたうえに指の動きが速すぎて目が行き届かなくなってきてしまっています。だからこそ自分で気をつけてくれないと困るのに。

 

曲自体はそろそろだんだん形が見えてきました。間にコンクールなどを挟みましたので、実質練習にとりかかれたのは1ヶ月くらいでしょうか。明らかにクライスラーの『前奏曲とアレグロ』をさらった時に比べると習得時間が短くなってきています。クライスラーは弾き始めて2ヶ月くらいのころに先生に初めて聴いていただき、それからブラッシュアップに次ぐブラッシュアップを経験しました。

 

今回はどれくらいかかるのか。ちょっと楽しみです。

 

本人の中で何かが腑に落ちないと演奏には顕れないんですよね
どんな曲でもそこまでが長い道のりなのだと思いました

 

ではまた。