人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

右手と3/4と

長女のヴァイオリンのレッスンがありました。

 

カールフレッシュやパガニーニヴィエニャフスキと、いつものレッスンが続きます。どれも匍匐前進といったところで、目に見えた大きなな進歩はありませんが、着実に新しいことを教わっています。特に全体を脱力することを学んだ一週間だっただけに、ヴィエニャフスキは「よく力が抜けていていいんだけど、それだと弾むような高揚感とかワクワクする感じが出てこないよ? もう少し音にハズミをつけて」という注文が入ります。これはある程度予想していたご指導だったので、本人も夫婦も納得。

 

ここからいつもならレッスン風景を細かく書くのですが、今回は別のことに注力いただいたためそちら寄りの内容に。

 

それは、弓の持ち方。

 

これはヴァイオリニストにとっては一生のテーマなので、今完成していなければならないものではないと思います。しかしいい音を出したいなら絶対に学ばなければならないのも右手。弓の角度、圧力、スピード、柔軟性。それをコントロールする右手の握り。

 

「もう少し弓を、こう持ち続けられないかなあ。できるようになれば、劇的に音が良くなるはずなんだけど」

 

と先生は今回のレッスンのだいぶ長い時間を割いて、長女の右手を指導してくださいました。誰だったか「留学したり先生が変わったりすれば、弓の持ち方はいちからもう一度叩き込まれるので、今教えてもらっているものが正解だとは思わないほうがいい」とお話してくれた方がいらっしゃいましたが、そういうものなのでしょうかね。

 

とはいえ、先生の求める音を追求しないと師事している意味がないので、親子でがんばっていきたいところです。毎度内容の濃いレッスンですが、細かい基礎をこんなにも丁寧に見ていただいたのは初めてなので、ちょっと嬉しそうな長女さんでした。

 

それと、帰り際にサプライズがありました!

 

先生がひとつのケースをパカッと開いて、「弾いてみて」とヴァイオリンを差し出します。赤い色をした子で、長女には「ちょっと大きい~。音がとれない」というくらいのサイズ。これは……3/4? 半年後にはサイズアップですね、と言われていたのである程度は覚悟していましたが、そうか、もうそろそろ楽器を替える時期なのか。

 

「いい音でしょ? こんないい楽器、なかなか無いよ」

 

と先生がバッハをヴァアアアアアッと弾いてくださいました。なんだこりゃ。1/2のときには出ない艶やかさがものすごい出ている。

 

大人の音です。表現力も格段にアップするだろうなあ……。お高いんだろうなあ……。ご縁があるかなあ……。いろんなことを考えてしまう。長女は

 

「先生、ずっとその楽器で弾けば?」

 

という、失礼なんだか斜め上なんだかよくわからないコメントを堂々とのたまい、親を慌てさせました。でも普段の先生の楽器と遜色ないくらい音の質が良い、という正直な感想にもとれる。大きささえなんとかなれば、これくらいのものをもちたがるのだろうか。

 

いやいやいや……うーむ。悩み深き初秋です。

  

楽器もいいけど右手の課題をなんとかしよう
それと細かいニュアンスをちゃんとつけたいねー!

 

ではまた。