人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

ヴァイオリン仲間をつくる

最近子供ヴァイオリンの世界に顔見知りの方が増えた我が家は、学生音楽コンクールみたいな大きな大会があると、それはもうクラス会みたいになってしまいます。特に同門の方はいつもお顔をあわせますから、「またお会いしましたね」のご挨拶からスタート。長女も仲良しさんがたくさんいるので、ワーキャー言って抱き合ったりしています。

 

そんな光景を見ていて最近考えてしまうことがあります。

 

海外在住の方から、子たちの音楽教育に関するお国柄を教えていただいたことがありまして。その内容が示唆に富んでいて、私にとってはとてもうなずけるものでした。

 

いわく「この国(その方の在住国)は良質な演奏家よりも良質な客を育てようとしているように見える」。誰もが一流の演奏家を目指す必要はなく、また親子そろって目指しているわけでもない、というご家庭がとても多い。日本で言うと野球みたいなものでしょうか。少年は幼い頃プロ野球選手を目指しますが、たいてい途中で別の道を選びます。しかしその後も彼は熱心な野球ファンでい続ける、という構造。

 

なるほどな、と納得しました。質の高い客に育てられて一部の一流奏者たちがご飯を食べていく。そうやって文化を継承していく。なんとも理想的なサイクルです。

 

何の本で読んだか忘れてしまいましたが、今は「国民総パトロン時代」だそうで。昔は芸術に理解のある一部の大富豪がアーティストを養っていました。今はその資金を小分けにして、一般客が少しずつ負担することで芸術家たちを食わせている、といった内容でした。そのためには何が一流かを見極める目(耳)をもったパトロンが集合しなければならない。逆に言えばそれができた文化は未来に向けて継承し続けられる。

 

また海外では室内楽のレッスンを積極的に薦められるそうです。それは「音楽を楽しむ子同士の交流を深める教育」の一環。音楽を通じて仲良くなれる人がいることを知り、音楽の結びつきをさらに強め、併せて子の情操をも育むということでしょう。ひいては良質の客を育て、客同士のコミュニケーションを活性化させ、市場を豊かにするということのようです。

 

規模の大きな音楽教室のいいところは、子同士の横の連携を作りやすいこともあるかもしれません。オーケストラへの参加など、まさにそういう楽しみですよね!

 

うちの長女さんはオーケストラに参加している余裕はありません。しかし、ヴァイオリンにまつわるお友達はたくさんいるので、そういう面では心強いですね。私たち親もそういう機会を増やすことに注力してきた分、効果の大きさはよくわかっているつもりです。


ですので、出会う場がたとえコンクールだったとしても、広義では音楽仲間どうしですし、まだ知り合えていない方々もぜひ長女と仲良くしてやってくださいませ。

 

子同士が勝手に仲良くなることもありますが……
親が一歩勇気を出して声をかけることから始まることもあります

 

ではまた。