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人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

M・ヴェンゲーロフ「ヴァイオリンの極み」

本ブログは時系列やリアルタイムでいうと、比較的バラバラに書いています。というのも、毎日毎日そうそう事件があるわけでもなく、淡々と練習して終わる日だってあるわけですから、これだけ連日書いていればそりゃ空白の日はあります。

 

ですから「あれ、この出来事って、ずいぶん前のことじゃ?」とか「この話ってあの話より後にあったことじゃなかった?」と思われたとしても当然なのです。唯一時系列なのはレッスンの内容くらいでしょうか。それでもリアルタイムではありません。

 

ですが、この話はまだ熱があるうちにと思いまして、1日遅れではありますが書いておこうと思います。

 

10代のためのプレミアムコンサート、家族で行って参りました。マキシム・ヴェンゲーロフその人の、子どもに向けた格安リサイタルです。ソニーの財団が完全バックアップ。とてもありがたいことなので重ねて書いておきます。公益財団法人ソニー音楽財団の主催ですよ! またぜひこういう企画をお願いします!!

 

平日の6時半という中途半端な時間にも関わらず、ほとんど満席でした。そして東京中のおけいこヴァイオリニストが集ったのではないかと思うくらいの子どもの多さ! ですから同門、他門、たくさん見知った顔を見かけました。挨拶したり、席を交換して子どもたちだけで座らせたり。普段のクラシックコンサートとは違う様相で不思議な感じ。

 

10代のため、と銘打っていますから、その年齢に向けた曲を披露するのかな、と思っていたのですが、フタを開けてみたら本気も本気のプログラムでした。なにせオープニングアクトがフランクのソナタって。ヴェンゲーロフ氏自身がクラシック倶楽部のインタビューで「40歳を過ぎて初めて自分に弾くことを許した」と言っていたほど、演者にも聴き手にも成熟を求める曲からコンサートがスタート。

 

4楽章に向けてドラマが進んでいき、最後の音の盛り上がり方の凄まじいことといったら! これで終わりと言われてもきっとみんな満足して帰るんじゃなかろうか、という素晴らしい演奏でした。テレビでは1度聴いていたのですが、生はまったく別物です。ヴェンゲーロフ氏のフランクは聴いておいたほうがいいです。

 

大拍手の興奮もさめやらぬ間に、ヴェンゲーロフ氏のインタビュー形式のトークが挟まれます。インタビュアーが質問して、それに彼が答えて。途中「私からも質問があるのですが、この中でヴァイオリンを習っている子は手をあげて!」と会場に問いかけると、5席に1人くらいの割合で勢いよく手があがりました。なんとなくそんな気がしてはいましたが、実際に目にしてみるとすごい数です。

 

そして次にラヴェルのソナタ。大丈夫? 子どもたち寝ちゃわない? 実際はとても面白い曲だったので、それなりにクラシック音楽が好きな子たちならきっと目を輝かせて聴いていたのではないでしょうか。子ども相手にまったく手を抜かない、いや大人向けだって滅多に聴くことのできない曲を披露だなんて。すごい人ですね。

 

長女の先生もそうでしたが、リサイタルってソナタを2曲続けて弾くんだなあ。演奏家の体力たるやおそるべし。でも学校があった夕方。子どもたちは眠いに決まっているじゃないですか。やはり前半が終わって休憩になると、席に身体を沈めて寝てしまったかわいい姿も見かけました。

 

後半はN響のオーケストラをバックにチャイコフスキ、サン=サーンスから2曲ずつ小品を。続けてヴェンゲーロフ氏とデュオを組むといったらこの方、田中晶子さんが登場し、サラサーテのナヴァラを見事な呼吸で聴かせてくれました。

 

アンコールは彼のリサイタルではおなじみのブラームス・ハンガリー舞曲。

 

おなかいっぱいの2時間半でした。……そう、終演は9時を過ぎていました。6時半開始だったので8時くらいには終わるだろうという私の予想は簡単に覆されてしまった。子どもにも全力投球、まったく容赦しない。おれたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる! あこがれるゥ!

 

何よりも感銘をうけたのは、ヴァグ・パピアン氏のピアノ。両氏のヘンデルのソナタを録画で聴いたことがあるのですが、モニター越しにも素晴らしいピアニストだなと感じていたので、生で聴けて本当によかった。後半はダイナミックな身振りでオーケストラを指揮していました。

 

長女も仲のよい同志たちと会えてとにかく嬉しかったらしく、この手のコンサートにしては珍しくまったく寝ずに過ごした様子。それどころか、自分のプログラムに1曲ずつ感想を書いていました。語彙は少ないながらも、自分の感じたことを書き残したのは初めての試み。大人ぶってみたかったのだとは思いますが、前向きな姿勢を見ることができて少し嬉しかったです。

 

帰宅後、姉妹してコンサートで聴いたばかりの曲を鼻歌で歌っていました。自分が子どもの頃も歌や音楽に対してはそうだったので不思議ではないのですが、子の記憶力ってすごいですね。ソナタの一節をふたりで同時に歌っている。よっぽどフレーズを気に入ったのでしょう。

 

その日の寝る前の練習は、なかなかいい演奏でした。いい影響を貰えたでしょうか。

 

「ブログ読んでます」とこの日も声をかけていただきました
こんなおっさんが書いています。幻滅されていないといいのですが

 

ではまた。