人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

毎日練習し続ける方法

最近、画面に向かってみて思うのですが……。

よく毎日書けていたな。すごいな自分、と振り返るわけです(今でこそ不定期更新ですが、実は一年前までの三年間、一日も欠かすことなく毎日書き続けていました)。

 

でも毎日書いていたときは、ネタが無い無いと言いながらも、画面に向かえば何かしら思い浮かぶものがあったのも確かです。それだけヴァイオリンという世界に魅せられて、ハイになっていたんでしょうね。

 

いつまでも続けられるだけ続けたいと思っていました。しかし断腸の思いで(そこまでじゃない)不定期更新に。それからというもの、いったいどうやって毎日書き続けていたのか、とんと忘れてしまいました。毎日書いていたときは当たり前だったことが、今は相当無理をしないとできないことのように感じてしまいます。

 

これって、きっと練習に通じるな、とピンときました。

毎日やっていたときは、辛くとも続くんです。でも練習しないのが当たり前になると、毎日やるようになるまでが辛い。急な坂道の途中で止まった状態の自転車をこぎ始めるようなもの。しかしずっとこいでいてスピードが出ている自転車なら、少しくらいの急な坂道はちょっとペダルに力をこめれば気合で上りきれます。だから、毎日練習するって大事。

 

では、毎日練習するためにはどうしたらいいか。

 

姉妹を見ていて思うのですが、始めるまでがとにかく面倒そうな様子なのです。でも、一度楽器を弾きはじめると、少しずつ自分で課題を見つけ出す。そして、本当にときおり「もう今日はいいんじゃない?」と言っても「もうちょっと、ここだけ弾いたらおしまいにする」と自主的に延長することも。上手くなると「聴いて! ここ弾けるようになったから!」と喜んで報告してくる。この報告を決してなおざりにせず「どれどれ」と聴きに行き、上手ければ褒め、まだまだだと感じたらいったん褒めてから「ここがこうなるといいね」と伝える。すると「じゃあ明日はここからやろっかな」と気持ちよく終えられる。要は、練習を始めてしまいさえすればいいんです。

 

だから、子を毎日練習させるには、初動を補助してやればいい。姉妹が低学年のころまでは練習を始めさせるときに一緒になってテンションをあげていました。「よーし、今日はここを弾けるようになろうか!」みたいに。最近は親もそこまで付き合っていられないので「はい練習ー」と部活の先生みたいな言い方をしていますが。

 

実はこれらを裏付けるような記事を読みまして。

 

www.itmedia.co.jp

 

千里の道も一歩から。楽器を持ってみる。弓をしぼってみる。構えてみる。弾いてみる。すると不思議なもので「ここまでやったんだから、続けて弾くか」となっていく。どうやら人間の脳ってそういう風にできているみたいです。今日も、五嶋みどりさんの演奏を流していたら「それ、ちょっと弾いてみたい」と長女がヴァイオリンを構え、譜面が無いので耳コピで弾きはじめ、その流れで練習が始まりました。音を出しさえすれば気持ちにスイッチが入るんだなあ。

 

ちょっと古い記事ですが、ほぼ日に脳研究家の池谷裕二氏が登場したときにも、同じようなことを言っていました。

 

ほぼ日刊イトイ新聞-脳の気持ちになって考えてみてください。 〜「やる気」と「脳」の話を、池谷裕二さんと。〜

 

池谷 たとえば、朝、眠いのに起きなきゃいけないとかね、そういう葛藤もなくなるんです。横になってたらいつまで経っても眠いんです。体のスイッチが入ったら、脳は追随する。つまり起きる。そうすると目が覚めるじゃないですか。そういうことで、面倒なことがだいぶ楽になるんですよね。やる気にならなくても、やりはじめればそのうち気分乗ってやるでしょ、みたいな感じを持ってると、たぶんすごく楽になるんです。

 

言い方は悪いけど、脳をだませばいいんですね。とてもわかりやすい。

 

しかし一方で、練習を始める癖がつくと進度も早まるわけで、すると技術的に難しい部分が唐突にたくさん出てきて、なかなかうまくいかないことが増えてくる。そうすると急激にやる気が殺がれてしまい、練習を始めるのがさらに億劫になってしまいます。これこそが、急勾配の坂道の途中で、静止した自転車にまたがったようなもの。

 

そこで立ち止まってしまうと、練習を辞めてしまいますよね。でも冷静に考えてみると、そういう場合私たちはどうしているでしょう。押して上るか、一度平らなところに戻って勢いをつけて上りきるか、のどちらかではないでしょうか。だから、難関にぶち当たったときは「ゆっくり弾く」とか「基礎練習に戻ってみる」とか、難易度を下げてとにかく上りきるのが大事。

 

こういうとき「毎日練習」していると、意外とらくらく乗り越えられるものです。なぜなら毎日練習続けている人=スピードが出ている自転車だから。

 

お、頭の文章に戻ったぞ。

 

よく「習慣づけ」なんて言い方をしますが、これを噛み砕いて言うならば――

 

「少しでもやる」→「やり始めれば意外と続けられる」→「うまくなった気がする」→「モチベーションを持って翌日へ」の循環を、毎日毎日ひたすら続けることで強い慣性をつけ、多少の起伏は勢いで乗り越え続ける。

 

でしょうか。練習を欠かしたことのない姉妹をリスペクトしている私としては、このように、彼女たちから学ぶことばかりです。

  

「とにかく、やってみる」を合言葉に!
でも練習中に頻繁にトイレに行くのはなんなのか

 

ではまた。