「わからないだろう」と思っちゃだめ
子どもの感受性は無限の広さを持つんですね。順序さえ間違えなければ、何を与えても吸収し心から楽しむようです。
先日こんな記事を書きました。
姉妹してドはまりしています、モーツァルトの歌劇『魔笛』。夜の女王の二回目のアリアなど、お風呂でふたりして歌っているくらい。「ハァアァアアッアッアッアッアッアッアッアッアーーーーーー」と見事なスタッカート&ファルセット! できればヴィヴラートかけてほしいところ。
オペラもバレエもいっしょで、話の筋は大して難しくないんですよね。そもそもモーツァルトは大衆に向けたオペラを書いていたわけですから、構成に凝りすぎると観客に理解してもらえない可能性もありますし。
それにしても子どもにはハードルという言葉がありません。舞台装置、衣装、演技、そしてよく意味のわからないドイツ語、唐突に始まる歌、漢字が多くてまともに読めない字幕。ぜんぜん関係ないみたいです。
おもしろそう、いい歌だね、こわいね、わらえるね。
そういうのひっくるめて全部楽しい様子。先入観がないってすばらしい。
江戸時代のことを少し教えてから連れて行けば、もしかしたら歌舞伎すら楽しむかもしれない。私は二度歌舞伎を観たことがあるのですが、高校生のときに行った一度目は学校の行事だったこともあってまったく楽しめませんでした。しかし大人になって先入観をなくしてみてみたらなんと楽しいことか! 演技の良し悪し、歌、踊り、三味線。すべてが小難しい“伝統芸能”“文化芸術”ではなく、粋を凝らした当時の“娯楽”でした。
享受する側はただの娯楽として受け取っていいはずなんですよね。演じる側がとんでもない稽古量をこなしていることは、歌舞伎だろうとオペラだろうと楽器だろうと、全部いっしょ。逆に裏の苦労がわかるようになると、ちょっとした表現の違いも味わい深いものになります。私は恥ずかしながら娘たちがヴァイオリンを始めるまで、ヴァイオリンの音の良し悪しなんかちっっっともわかりませんでした。
表出した技の裏には膨大な苦労がある。
姉妹はそれを知っているからオペラも楽しめるのかな。
ではまた。