人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

発表会後のレッスン

娘たちが通っているピアノ教室は、子どもはもちろんですが大人の生徒さんも多数いらっしゃるため、発表会を複数回に分けて開催しています。娘たちは幼稚園、小学校低学年のグループに参加しており、午前中に終了してしまいます。

 

私の父母を交えて軽食をとり、少しなごんでから帰宅すると、まっさきにしたのは全員による昼寝です。なぜなら、このあと長女のヴァイオリンのレッスンが待ち受けているから。

 

がっつり体力を回復し、それから軽く練習、そしてレッスンへ。

 

先生にお会いしてすぐ、発表会での出来事をお伝えしてみました。

 

ピアノの調律がひどかったのです。ピアノの中央のラの音はオーケストラをはじめすべての楽器の基本となる音です。この音の周波数はだいたい決まっていて、現在の主流は442Hz。ちょっと高めにとるオーケストラだと443Hz、日本のピアノでは440Hzであわせるところも多いです。

 

五嶋みどりさんはその昔440Hzのピアノとあわせて演奏ばかりしていたらしいのですが、アメリカに留学してみると、442もしくは443Hzが主流だったせいでずっと「気持ち悪い」と思っていたとか。そこでご母堂の節さんは440、442、443Hzのピアノをそれぞれ用意してあわせる練習をしたそうです。そんな場所も金もない! というわけで当然我が家ではそんなことをさせたことはありません。

 

ピアノの発表会はグランドピアノを置いた飲食店で行われました。調理場の湿度、地下であること、しょっちゅうピアノを移動することなどの悪条件が重なり、私がチューナーで測ったところでは435Hzを下回るとんでもない低さ。しかもその1オクターブ上のラは440Hzという狂いよう。仕方ないので私は娘たちのヴァイオリンを435Hzにあわせてやりました。その中で長女も二女もヴァイオリンを弾いてきたのです。

 

その旨をひととおりお話すると、先生は苦笑いしながら、

 

「それは、僕でも無理です。弾く環境じゃないね」

 

と。

 

発表会の会場にはお嬢さんをジュニアオーケストラに入れていらっしゃる方がいらして、その方とピアノの先生が「長女ちゃんのヴァイオリンの音程、すごくズレていましたね」「ピアノがひどかったから仕方ないのよ」といった会話をしていたそうなのです。

 

ヴァイオリン経験者ならばその会話にどんな意味があるのかわかりますが、未経験者はそうはいかない。それをそばで聞いていた私の母はこれを悪評ととったらしく、昼食時に「(そんな悪い評判を立てられちゃうくらいなら)今後はいっそピアノだけで出せばいいんじゃない?」と言うもので、妻が少ししょげておりました。

 

狂ったピアノの音にあわせて弾いたり、442Hzの音程で弾いてみたりと、演奏がチャンポンになっていたせいで、確かに聴衆的には気持ちの悪い曲だったかもしれません。しかしヴァイオリンの先生にご指導いただいた「ボウを大きく」「リズムしっかり」「情感を豊かに」という部分は普段以上にがんばっていたのです。私は長女の演奏は名演だったと思うのです。

 

ここはもう、完全に気持ちを切り替えたほうがいいと思いました。これからヴァイオリンの発表会とコンクールが待ち構えています。どちらも442Hzぴったりにあわせたピアノが伴奏につきます。その幸せをかみ締める意味でも、今回の出来事はとてもいい経験だったと考えよう。

 

しかしレッスンは案の定「高い高い高い!」と先生に注意されまくっていました。そりゃそうだよね、あんなに低いピアノにあわせて弾き続けていたんだもの。どこが正しい音程だか、わからなくなって当然かもしれない。

 

それでもスケールを3調合格いただき、カイザーにも合格をいただき、発表会で弾いた『プレリュードとアレグロ』は「だいぶ上手になったね。あとちょっと」とお褒めの言葉までいただきました。

 

ここ最近、一週間でスケール3調とカイザー1曲を仕上げるのが定番になってきています。でも今回のカイザーはちょっと強敵。オクターブ分散和音が続く34番です。

 

これ、一部の例外を除いてずっと1(人差し指)-4(小指)で弾くんだそうです。私、この奏法、ギターでは得意でした。フレットがあるから簡単なんですよね、ギター。さあ、長女さん、強敵を倒せるかな?

 

ではまた。



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