人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

念願のパガニーニ!

本日のメインはモーツァルト4番の伴奏あわせです。が、出かける前から長女はなんだかソワソワしていました。そう、カイザーの36番に終わりが見えてきていたのです。これで合格すれば、念願のパガニーニ24のカプリスが! 以前先生の口から「次はパガニーニやろうか」といわれた翌日には譜面を購入した私たち夫婦。そのワクワクが長女にも確実に伝播してしまっています。

 

 そのときの記事がこちら。


えっ、パガニーニ!? - 人生を劇場にしない

 

伴奏あわせでは、前回よりはご納得いただけたようで、「うん、なかなかいいね」とおっしゃってくださいました。が、すぐに「もうちょっと味わい深くなるかな。もう一歩楽しさとか、優しさとか、悲しさとかが表現できるといいんだけどな」と表現についていくつも注文がつきました。

 

「こういう風にピアノからフォルテに」といったような教え方ではなく、いつも感情をお話になる先生です。「ここは楽しく。物語がはじまりはじまり~って感じで」「魔笛っぽい歌い方できる? ……魔笛ってわかる?(偶然にもわかります! でも小一に説明するには高尚ですね)」「悲しげに、でもはっきりと鳴らして。IMC版にはピアノって指示があるけど、モーツァルトの原譜には書いてないんですよ? だからもっとはっきり」「かわいく~」

 

長女さん、一生懸命つかもうとしますが、どんなに弾いても「もっと楽しく」と言われてしまうのでした。なかなか難しいね、楽しく弾くって。

 

伴奏の先生がお帰りになったあと、カデンツァをじっくり見ていただき、カイザーの36番に! あんなに練習したはずなのに、先生の前ではたくさんトチってました。先生は少し苦笑い気味に「うーん、まあオマケでいいや。合格。でも復習しておいてね」と合格をくださいました。

 

唐突に長女、カプリスの譜面を持ち出して16番を開き、「先生弾いて」と。

 

……お前。なんという怖いもの知らずな。先生は苦笑しながらも長女の無礼には一言もなく、ブワァァァァッとすごいスピードで弾いてくださいました。長女はそういうのは嬉しくなってしまうタイプなので、完全にはしゃいでいます。それを見た先生は危険を感じたのか「いや、もっとゆっくり弾いてきてね。これくらい」と今度はお手本になりそうなスピードで弾いてくださいました。

 

いつも思うのですがお手本演奏だけで気持ちが超アガるんですよね。ほんとすごい人だな。

 

帰り道で長女、喜んでいるのかと思いきや少し悔しそうな顔。「36番、家に帰ったら練習する」……オマケで合格出されたことに納得がいっていなさそう。でもパガニーニについて話をふると「譜読みするね!」と元気に。

 

いやいや、君、そろそろモーツァルトの4番、本番なんだけど。

 

……ま、いいか。予選は落ちないし。

 

……いや待て、音楽ってそういうもんじゃないだろ。

 

パガニーニは聴きたいけどモーツァルトも仕上げてほしい。カイザー36番も納得いくまで弾いてほしい。欲張りな父でごめんね。

 

ではまた。



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