人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

弾きたい、と思う気持ち

ある日の晩御飯どき、何か聴こうか~と妻が提案したところ、姉妹は「龍くんのDVDが見たい」と言い出したそうで。「妖怪ウォッチ」でも「プリキュア」でもなく、五嶋龍って……友だちと話合うのかなこの子たち……。

 

で、ラヴェルのツィガーヌが流れ出したとたん、食事の手が止まる長女。そしておもむろに「これ、弾いてみたいなー」

 

……うん、いいんだけどね。まずあなたはポロネーズ・ブリランテをなんとかしてくださいよ。パガニーニだって読まないといかんでしょ。ちゃんと読み終わったら譜面買ってあげるよ。

 

そんな出来事のあと長女の「弾いてみたい」という気持ちは何に近いのだろうかと少し思いをめぐらせてみました。カラオケで好きな歌を歌いたいとか、好きな曲のギターパートをさらってみたいとか、そういうのに近いのでしょうか。

 

もしそうなら「音楽が好き」「ヴァイオリンが好き」という気持ちが出ていてとても好感が持てるし、前向きな姿勢はとても評価できると思うのです。

 

が、音楽家としてはどうだろう、と一歩引いた目線で考えると、やはりまだマネっ子しかできない人なんでしょうね。当然まずは技術ですから、真似することから学習していかなければならないのは言わずもがなです。

 

そこから「私ならこう表現する」とか「私はツィガーヌはこう弾く」という言葉が出てくれば、きっと奏者として自立してきたと見るべきなんだろうな。そしてさらに「ラヴェルの当時の傾向からすると、ここはこう弾くほうがいいのでは」とか「この部分は現代の客層にあわせてこう弾くけど、ここは当時の香りを残したいからこう弾く」とか分析できるようになれば、音楽家として第一歩を踏み出せるのかな。

 

もっともっと深いのかもしれませんが、ようやく階段の一歩目を踏み出した感じなのでしょう。踊り場で踏みとどまらず、昇り続けてくれると父はうれしいよ。

 

ではまた。



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