人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

まったく恥ずかしくない

長女、コンクール前日にレッスンがありました。伴奏の先生もいらっしゃるので、前奏曲とアレグロ(クライスラー)だけを練習してきてね、と前もって言われておりました。

 

そんなわけで悔いの残る本選から二週間がたち、残すは全国大会のみです。先生は長女が準備をしているときに「どう、調子はあがってる?」と聞いてくださいます。長女は「うーん」と少し苦笑い。私も妻も「練習“だけ”はしました」と謙遜も誇張もない表現で親の不安をミックスしてお伝えすると、「そうですか」とにこやかに笑ってそれ以上は何もおっしゃいませんでした。

 

いつもより若干緊張感のある構えで、通しで演奏する長女。するととてもいい音が鳴り響きます。私も妻も、「お、これは」と手応えを感じました。

 

演奏が終わると、先生はベタ褒め。

 

「素晴らしい。テンポも表現も音程も全部良い。音程がいいなんてもんじゃないね。音楽的にとても良かった。今日はいままでで一番いいんじゃない? うん、コンクールの全国大会に出ても何も恥ずかしいことはない。胸を張って弾いてきて」

 

なんというか、もう、じんわりと泣きそうになってしまいました。この先生に師事したい、と長女が主張し、夫婦そろって時間も資金も覚悟をも工面して、ようやくそのあこがれの先生からここまで言っていただけるようになったのです。

 

レッスンが終わったあと、妻も同じ気持ちだったようで、「明日の結果は気にならなくなった、今日の先生の言葉がとにかく嬉しい」と全身で感動していました。

 

ただコンクールは演奏会と同じ。多くの人に聴いていただく場です。先生に認めていただくこととは別の意味でとても大切な修練の場。気を抜くことなく、残された24時間を使いたいと思いました。

 

クリックくださると長女が24時間を有効利用します
親はなるべくピリピリしないように気をつけます

 

ではまた。