人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

一流の演者

長女が学校からテストを持って帰ってきました。

 

「今日はテストがえしされてねー(あー、あったね、学校だけでしか通用しない言い方「テストがえし」。柔道の技かっつーの)、国語は100点だったんだ(おー)けど、算数はほんっっっと悔しくて! 一問間違えて95点だったわけ。一問まちがっただけで5点引かれるんだよ? ヤバくない!?(その言い方がすでにヤバいとパパは思います) でねー、何間違ったかっていうとー、私あたまくるっててさー(病院行かないと!)1000-10=って聞かれて90って答えちゃったんだよねー」

 

あーそりゃヤバいね。

 

さて。わたくし、新国立劇場で「かがみのかなたはたなかのなかに」を観て参りました。長塚圭史近藤良平首藤康之松たか子が出演。とても面白かったです。首藤さんと近藤さんのダンス、長塚さんのコメディ、絶品。

 

ですが、もっとも私の気を惹いたのは、松たか子さんでした。

 

もう天才的に演技の人。実は芝居が始まるまえ、四人が海軍の軍服を着て、ロビーをうろうろしていたため、四人とも1mくらいの距離でじっくり観察できたのですが、誤解を恐れずに言えば、彼女は「ふつうの人」なんですよ。うわぁぁ芸能人!というよりも、そのへんにいてもおかしくない隣のお姉さんって感じ。

 

それが、舞台で役に入った瞬間、これ以上はないというくらい可愛らしく、妖艶で、ずるくて、ひどいオンナになれてしまう。もうその豹変っぷりにノックアウトされました。そもそもHEROの頃からファンだったので、良い印象しかなかったのですが、ここにきて舞台人松たか子のすごみを観た気がします。

 

何かで読んだのですが、原作・演出の長塚圭史さんが松さんに「ボクが合わせますので、自由に演技して下さい」と言ったところ「いえ、わたしが全部合わせます」と返されたそう。彼女はその言葉通り、どんなアドリブにも瞬時に反応し、すべての動きを舞台の必須シーンだったかのように振る舞ったとか。

 

演奏家もこうじゃなきゃいけない。一流ってのはそういうことなのだろうと全身で感じた夜でした。特にソリストに求められるホスピタリティを学ぶには、最高の人ですね松たか子さん。明日までやっているので、お時間のあるかたはぜひご覧下さい。お勧めですよ。……千秋楽だからさすがに売り切れているかな?

 

  

脚本はもう一歩踏み込んでくれてもよかったなーとは思いました
でもこういう舞台を許す新国立劇場の懐の深さには感銘を受けました

 

ではまた。