人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

華麗なる全国大会

長女、某コンクールの全国大会に出場いたしました。

 

今回は2年生になってはじめての大会。カテゴリーは低学年のみ、1~3年生20数名参加されていました。冬は約30名参加していましたから、少ないほうですね。これは毎年の傾向なのか、それとも今年だけなのかはわかりません。ただ、全国大会の名に相応しくなってきたと思うのが、地方からの参加者の増加。主に関東以西からの参加者が多かった。以東はあまりお見受けしませんでしたね。

 

前回、腹痛と吐き気をもよおした長女だったので、時間と体調管理には特に気を配りました。1時間前には到着し、彼女の顔色も良く、それだけで一仕事終えた気分になります。

 

着替えがありますので、妻と二人更衣室に移動。できれば私に練習を見てほしいそうなので、あとで呼びにきてね~と手を振ります。しばらくして私の父母が到着。二女が大喜びなので相手を任せてチラチラと控え室のほうを見ると、ドレスに身を包んだ長女が「ひゃっほーーーい」と駆け寄ってきます。ドレスで走るなーーーっ!!!

 

じじばばと挨拶したり、同門のお母様とちょっとご挨拶していたら、ホールで演奏が始まってしまいました。私はビデオカメラをセットしたかったし、他の子の演奏も聴きたかったので先にホールに入ります。長女と妻も控え室へ移動。……しばらくして、長女を激励するのを忘れていたことに気づき、あわてて演奏の合間を縫って控え室へ。

 

コンコン、失礼しまーす……長女~。

 

「あっ、パパ! お友達できたの!!」

 

……そうかそうか、よかったな。……いやそうじゃないだろ! あなたこれから本番でしょうが! そりゃお友達は大切だけど……え、友達? なに?? 今お友達できたの???

 

頭の中が真っ白になって、もう意味がわかりません。

 

あとでわかったのですが、地方から参加されてきたお子様が、わざわざ長女に声をかけてくださったそうで、なんだかとても仲良くなっていました。びっくり。妻も交えていろいろとお話できたそうです。リラックスできたんならそれでいいですよ。あ、伴奏の先生もいらっしゃった! じゃあ今度こそホールいくねー。がんばってねー。

 

「はーい、楽しく弾いてくる!」

 

それがわかっていれば問題ないっス。パパに言うことはないっス。

 

ホールにもどって他のお子様の演奏を楽しみながら順番を待っていると、長女の出番。スススッと舞台中央に向かい、笑顔でペコリ。そう、それができれば文句なし! 調弦もばっちり! あとは演奏だけ!

 

出だしの音、いい! 音色も変化がついている! よしっ、これな……ら……いけ……速い速いはやぁぁぁぁぁぁいっ!! どんだけ走るんだ、普段の演奏よりだいぶ速いよ! ハイフェッツか!!!

 

第二主題でゆっくりになってくれたおかげで少しテンポを戻しました(伴奏のM先生がコントロールしてくださったとも言う)が、展開部で再び加速装置。その後は、転がる石のようにエンディングまで突っ走りました。一級品の笑顔でぺこり。スタスタと袖に下がっていきます。なんだか、あっけにとられて、演奏を覚えていない……。

 

休憩まで残り数人だったので、それまで出演者の演奏を聴いてから控え室に行くと、「どうだったー!?」とニコニコの長女さん。「よかっ、た、けど、速い! 速すぎて音程が不安定だったよ!」「あー、M先生にも言われた~」と笑っています。M先生には「すっごい速かったねえ。びっくりしたよー?」と言われたとか。すみません、よくよく言って聞かせますから、ぜひこの次もなにとぞ……。まあ、よく大事故にせずに弾ききった。けど、心臓に悪いよもぉ……。

 

ただ、先日から課題だった「音色の数を増やす」は半分くらいはクリアではないでしょうか。勢いもあったし、曲相も掴んでいたし、あとはテンポコントロールと音程!!!

 

おなかがすいたという長女の着替えを待ち、ご飯を食べに行きます。その間中妻はずーっと演奏のことを気にしていました。撮ったビデオを見返したり、音程を外したところで胃がいたそうな顔をしたり。私はもうやっちゃったものは仕方ないとなかば諦めてご飯を楽しむことに。もうさー、終わったんだからさー、そういうの後にしようよー。

 

わいわいとお昼を食べ終えたころ、ちょうど発表の時間になりました。私と妻と長女の3人で会場に戻ります。結果、とてもありがたい順位をいただくことができました。でも今回は順位ではないと思っていて、あれだけ直前にダメ出しされた演奏をどこまで持ち上げることができるかが課題だと思っていたので、7割は成功だなあ、結果もついてきてよかったなあ、なんて思っています。いろいろと新たな交流も生まれ、結果として実り多き大会になりました。

 

応援くださった方、ご指導くださった方、本当にいつも感謝しております。ありがとうございます。もうひとつの大会に向けて、もっとブラッシュアップしてがんばりたいと思います!

 

さあて、先生がなんとおっしゃるか……
走ることには先生、あまり何もおっしゃらないんだよなあ

 

ではまた。