人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

嫌になることもある

長女との練習は、ときに白熱することがあります。親も未熟な人間ですから子が弾けないとイライラしますし、子はもっと未熟ですから自分が弾けないと態度が投げやりになります。そんな日はお互いにピリピリした空気が流れ……。

 

 

厳しく言い過ぎて長女が泣き出すこともあるし、逆に親も呆れすぎて聴く気が無くなって投げやりになってしまうこともある。それでも、365日ほぼ毎日欠かすことなく顔をつきあわせて譜面とにらめっこして、弓の持ち方! ネックの角度! 指板に入らない! 歌うことをサボらない! と言い合う。そんな日々です。

 

つい先日、気になって聞いてみました。

 

「こんなに大変な練習、嫌にならないの?」

「なるよ」

 

えっ? なるの? 今まで「絶対に辞めない」とか「苦しくても続ける」とか言い続けていたのに?

 

「ってことは、辞めたいと思うこともある?」

「あるよ」

 

えっ!? あるの!? いや、それが普通だと思うけど。今までがちょっとおかしかったんだと思うけど。でもあるの? じゃあ、もしかして、今まで愉しくて愉しくて仕方ないって言っていたレッスンも……。

 

「いやだなあ、今日は行きたくないなあってこと、あるの?」

「あるよ」

 

……君は田中要次か。しかしあるんだね。意外だったけど逆にホッとしたよ。じゃあそれでも続けたいという思いはあるんだ?

 

「……あるよ」

 

あるんだ……。どんなときにやっててよかったって思うんだろう。

 

「拍手もらったとき。あと、弾けなかったところが弾けるようになったとき。それと、ヴァイオリンが好きなお友だちができたとき」

 

あーそうかー。それは本当によかった。心からよかった。親がやれというから盲目的に狂信的に洗脳されたようにやっているのだったらどうしよう、という葛藤はずっと持っていました。それでもあとで後悔したくないから、全力でサポートしつつ全力でぶつかりあいつつしてきました。その反動のように、厳しく言うときに押し寄せる不安。「やらされているのだろうか……」

 

しかし、ようやく本人の口からやりがいに近い言葉を聞くことができ、少し安心したのです。だからといって手を抜くつもりはないし、必要以上に厳しくすることもない。とにかく今のペースでいこうと思います。

 

今のペースが正しいのかもしょっちゅうチェックが必要ですね
6時間授業が挟まるとなかなか時間がとれず気持ちに余裕がなくなるんですよね。気を付けよう

 

ではまた。