人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

弦を買いに、弓を試しに

NHK音楽館ではマーラーの復活、題名のない音楽会では超絶技巧、ららら♪クラシックではショパンの幻想即興曲と、まー見所たくさんの週末。海の向こうの演奏も聴かせていただき、ハイソサイエティ風味な時間を過ごせました。本物じゃないのが寂しい。

 

我が家は題名のない音楽会の最後に披露される、音楽家たちの名言を楽しみにしています。サザエさんでいうところのじゃんけんぽんみたいなものです。今週は。

 

演奏家はリスクを冒さなければいけない。H.ヴィエニャフスキ

 

感覚値として盛大にうなずきました。リスクを避けてばかりいるタイプにはあまり向いていない職能だと感じています。なかなか深いな、この言葉。

 

さて、長女さんの次に使う3/4サイズの楽器ですが、ちょいと調整中にG線を切ってしまいました。G線って切れるんですね! もともと楽器を買ったときに張られていたものでしたから、古くなっていたのだと思いますが、それにしてもあんなに太い弦が、と驚きました。

 

で、3/4サイズ用の弦のストックは当然ありませんから、近所にあるショップに買いに行こうと出かける準備をしていたら、その姿をめざとく見つけた長女が「私も行く」と言ってついてきました。これは丁度良いかもしれない。弓を探している最中だし、本人の感覚を試すにはいい機会だ。そう思って出発。

 

G線を張り替えてもらっている間に長女はショップ内をもの珍しそうにウロウロ。その間に「3/4の弓は置いていますか?」と雑談も交えていろいろと教えていただきました。そして一本試してもいいよ、という弓を出していただき、G線を張り替えたばかりのヴァイオリンを弾かせていただけることに。

 

すると、長女、いつまでも弾いていてなかなか弓を手放さない。

 

「どう、弾きやすい?」「どんな感じ?」「重い? 軽い?」と質問しても、うん、うん、と生返事をしては好き勝手弾き続けています。確か弓の性能をみるなら、ワンボウスタッカートやスピッカートがいいとどこかで読んだ気がしたので「長女やってみて」と伝えますが、ほんのちょっとやって「うんできる」と言ったらまた好き勝手弾き続けている。

 

楽しいかい? それは何よりだね。

 

お客様であろう品のよいマダムが「さっき弾いていたの、あなた? レパートリーたくさんね~」と話しかけてくださって、なんだかもう私のほうが恥ずかしいやら恐縮するやら。結局この日の収穫は「本体はいいが、まだ3/4の弓は少し長すぎる」ということと、お店のセール情報を教えていただいたことくらいでしょうか。

 

本人はいい音のする楽器をたくさん弾けて大満足。今日の弓はどうだった?「弾きやすかった」。弦楽器フェアで弾いたのと比べると?「覚えていない」。

 

……あまり意味がなかった。

 

長女はただ単にお出かけしたかっただけみたいです
そんなに何本も買えないんだから、もう少し真剣に選んで欲しい

 

ではまた。