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人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

小さな箱の広大な世界

長女の姉弟子さんの伴奏をなさったことのある、作曲家の先生のコンサートがありました。新曲発表会、そして即興曲の演奏という催しです。しかし先生ご自身があまり宣伝なさらないので、「どうして宣伝しないんだろう」と疑問だったのですが、会場を見てよくわかりました。これは、宣伝してしまったらあっというまにいっぱいになってしまう。それくらい小さな箱だったのです。

 

姉弟子さんの伴奏者というつながり、ひいては長女の先生とのつながりもあり、私たちは幸運にもそのコンサートに出向くチャンスを得ました。結論から言うと、もうとんでもなく素晴らしかった。

 

クラシック音楽、ピアノのリサイタルと言われると、「何を弾くの?」という疑問から入ると思うのです。ブラームス? ベートーヴェン? リスト? ショパン? ああ、この奏者のあの作曲家のあの曲なら聴いてみたいな。だからチケットを買おう、という流れですよね。これ、正直私は本末転倒だとは思うのですが、でも日本にはピアノやヴァイオリンのリサイタル、サロンコンサート、ファミリーコンサートという文化がそこまで根付いていませんから、どうしてもそうなっちゃいますよね。

 

ですが今回のコンサートは「何を弾くのかわからない」。なぜなら、新曲披露会だし、即興演奏会だから。どんな楽しませ方をしてくれるのか、という思いで会場に向かったのです。

 

先ほども書きましたが、とにかく素晴らしかった。チェロの無伴奏は難解な曲ながらも、どういう背景で作曲されたのかをご本人が解説くださってから演奏に入ったため、いろんな想像をかきたてられて、「ああ、現代曲ってこんなにも面白いものなんだ」と気づかされました。終演後にチェロの先生に譜面が見てみたくなりましたと感想をお伝えしたら、わざわざバックヤードから持ってきてくださりました。……もうどういう頭をしていればこんな楽譜が書けるのか。そしてそれを完璧に弾けてしまう奏者の腕。感動の嵐。

 

そうそう、音楽会ってこういうものだよね。

 

そして即興曲でまさか涙が溢れてくるとは……。お題を元に数曲弾いてくださったのですが、どれも譜面にしてほしいくらい。あとでそうご本人にお伝えすると「じゃああとで録音を聴きながら譜面にしないとね」と冗談っぽくおっしゃっていました。私はそれよりも演奏録音をそのままCDにしてほしい気分です。

 

新曲のヴァイオリンソナタも、最後に聴かせてくださったシューマンも、うっとり聴き入ってしまい、あっというまにコンサート終了。音楽を聴かせてくれる場というものを考えさせられる1日でした。

 

音楽とは何か、コンサートはとは何かを深く考えされられる日でした
長女も相当感銘を受けていましたので、何かつかんでくれるといいな

 

ではまた。