人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

妹は得

サッカー日本代表に長子はいないそうです*1。どうやら偶然ではないようで、あるていど我が強く、あるていどマイペースな人がアスリートとして大成しやすいとか。もっとも大きな理由は「長子というお手本がある」「紆余曲折する長子と違い、はじめから正解を知っている」という時間効率的なものと、「人の面倒よりも自分の世話に集中」「愛嬌があり叱られにくくモチベーションが下がりにくい」という性格的なものがあるようです*2

 

さて我が家を振り返ると、二女は見ていて得です。譜読みはあるていど長女が終わらせた曲をやるので、ニュアンスも注意点もだいたいわかる。一度通った道なので両親も教えやすい。さらに弾けないところは姉が“弾いてみせてやれる”。

 

この「弾いてみせる」を長女にはできない我が家は、かなりの負担を彼女にかけていることと思います。お師匠のレッスンは常にビデオで撮影し、それを何度も見返して注意点を洗い出し、それをリスト化して日々のレッスンに反映していますが、それでも指番号の見逃しや弾きやすいポジションの選出はお師匠抜きではどうしようもありません。二週間ほどレッスンがあいたときに初譜読みした曲を練習していると、そこかしこに間違いがあって大変なことになります。すでに長女の指使いはとても速くて、指番号があっているかどうかを追いかけることすら両親にはできなくなってきています。

 

しかし一度通った道である曲を読み返すのは、実に楽です。二女が今練習しているのは鈴木教本の四巻なのですが、二週間に一曲くらいのペースで仕上がっていきます。長女はもう少し時間がかかった記憶がありますが、それでも当時は「この子は譜読みも仕上げも早い!」と驚いたものでした*3。そんな曲を二女はスラスラと仕上げてしまい、お師匠に「すごいね、もうここまで弾けたの!」と驚かれたほど。

 

二女は得だなあ、と感じた瞬間。長男の私は若いころ、二男の要領のよさを憎くすら思っていたこともあり、長女お前だってすごいんだがんばれ、と心の中で応援します。でも二女だってかわいいかわいいわが子。いつ長女を抜いてしまってもいいんだよ、そうしたらおねえちゃんはきっと、もっともっとがんばって突き放すから、と別の角度から応援。

 

共演もいいですが、競演してくれるようになるといいな、と思う昨今です。

 

ではまた。




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*1:余談ですが一人っ子もいないそうです。

*2:あくまでも一般論です

*3:そんな甘い思いはコンクールのためにヴィヴァルディの協奏曲イ短調を仕上げたときに打ち砕かれましたが。レッスンベースの仕上げとは濃度も密度もまったく違う追い込み方で、大変疲労した記憶があります。