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人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

本番前日の訓示

モーツァルト4番の仕上げレッスンに行ってまいりました。伴奏のK先生ともこれで三回目。だんだん息があってくる様子が見ていてとれます。

 

これまでに何度この曲を弾いたことか。毎日最低でも5回は通して弾いていました。だいたい100日目くらいですから、500回以上は弾いたんでしょうね。音程をなんとかとりたくて、テンポをなんとかキープしたくて、親も一生懸命になりながら伝えてきた日々。

 

が。

 

「とてもいい。とてもいいんだけど、なんだか前回聴いたときよりつまらなさそうに弾いているよ」

 

えっ。夫婦して心臓が縮むかと思いました。

 

「音楽ってのは、出す音すべてに心がこもっていないと。音に心を乗せてお客さんに届けるのが音楽家の仕事なの。音程を外さずに、大きな音で、一箇所も間違えずに弾き終えるのはロボットのすること。人間が弾くんだから気持ちをこめないと。間違えないように間違えないように怖がって丁寧に弾いているだけじゃ、お客さんには気持ちは届きませんよ?」

 

いつにない顔で長女にとつとつと語る先生。その表情は真剣でした。

 

「すごく弾ける子でも、中学になって、高校になって、消えていく子たちって多いの。音楽ってそもそも人を楽しませるものでしょ? でも弾くことに一生懸命になりすぎて、そういう楽しませる心を忘れちゃうんだよね。そして次々につぶれていっちゃうの。そうなっちゃいけない。それでは音楽家にはなれない」

 

私たちに語っているようで、でもその実は長女に真摯に向き合ってくださっているのでした。彼女も何かを感じ取った様子。

 

その後重音のスケールを見ていただき、よく出来ている調と、まだまだの調を聴いていただいて、「あとは……」と長女が別のものを出そうとしたら先生が

 

「明日本番なんだしさ、今日のこと復習したら?」

 

と苦笑い。そこでレッスンは終了に。訓示を受けたことで逆に気合が入った長女は、それから自宅で「楽しく!」「かわいく!」をテーマに復習。「森のように広い庭を幼い男女がキャッキャッとはしゃぎながら駆け回り、その後ろからお父さんとお母さんが心配げについていくような中世ヨーロッパの貴族的な風景」と言ってもわからないと思ったので、「ディズニーランドを思い浮かべればいいかな」と親子で語らい、その気持ちを胸に弾き続けていました。

 

ただ翌日に向けて睡眠時間確保のため、はやめに就寝。なんにせよ楽しんで弾いてきてくれればいいな。

 

ではまた。



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