人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

質問箱アーカイブ #29 曲の難易度と才能

 

質問箱という匿名質問サイトが2022/5/31をもってサービスが終了しました。それまでにいただいた50件近いご質問は楽器子育ての親にとって大変貴重な資料になりますので、アーカイブして残すことにいたしました。毎週月曜日、順々に公開していきます。

 

2019/9/21にいただいたご質問

 

こんにちは! ご質問をありがとうございます!

我が家の場合は鈴木教本を順番に進めていました。幼稚園の年長の3月で「ヴィヴァルディイ短調三楽章(4巻最後)」を弾いてから進みが急激に早くなり、春の終わりには「バッハのドッペル」のセカンドヴァイオリンを弾き(5巻最後)夏には「ラ・フォリア」と「フィオッコのアレグロ(6巻)」を弾き、クライスラーの「前奏曲アレグロ」をレッスンとは別に勝手にさらっていました。そしてちょうど今ごろの季節に7巻に入ったところで新しい先生につきます。

その先生は7巻の最初のモーツァルトとバッハの協奏曲だけをチョイスしたあと、「鈴木は弾きやすくアレンジされているので、今後は原本を弾きましょう」と、鈴木で言えば最後の巻の曲、「モーツァルトの4番」を生まれてはじめてIMC版で弾きました。この曲と夏に勝手にさらっていたクライスラーとで、秋からの2度目のコンクールに挑んだのです。

鈴木の8巻と9巻はともにモーツァルトのコンチェルトですし、飛ばしたとはいえ一応鈴木は最後までさらったようなものです。まさにそのタイミングで新しい先生が次々と難曲を与えてくださる方だったというのもあったから長女は早くから難曲ばかり弾いてきた印象があるのでしょうね。

でも再び新しい先生に師事したときには、最初は曲を弾かせてもらえませんでしたし、曲をいただいても鈴木に戻ったり高難度のものは避けられたりしましたから、結局どこかで戻ることになるのだと思います。

先日、とあるお世話になっているピアノの先生が妻におっしゃったそうです。

「コンクールに出て入賞しただの予選で落ちただの言っている時期は、あっという間に終るのよ」

ああ、本当にそうなんだろうな、と胸に寂しい風が吹きました。ですから難易度うんぬんよりも、とにかく目の前の曲に誠実に向き合い、完成度を高め、かつ観客が感動する演奏を目指し続けるのがいいんじゃないかな、なんて偉そうですが、心よりそう思います。鈴木の2巻で弾いたリュリのガヴォット、真剣に学べば観客の心を揺さぶれます。こんなにもいい曲だったのかと気づかされます。そここそが、音楽家の目指すところではないかと思うのです。

お答えになりましたでしょうか?