人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

長女、楽器屋へ

長女のヴァイオリンの弦がひどいことになっていました。気づくのが遅れた私たちにも問題アリですが、長女よ、もう少しはやく何らかのアラートを出しておくれ。

 

E線は千切れそうになっているわ、A線の外周を巻いている部分がほつれているわ、D線、G線はサビて白くなってきているわ……。ひどい!

 

近場なら長女にも自転車を漕がせるのですが、ちょっと遠い楽器屋さんなので自転車の後ろに乗せてゴー。二女と妻はお留守番です(ピアノの猛特訓が始まっています)。

 

イタリア人の店員さんが「オー、久しぶりですねー」とにっこり挨拶してくれて、長女と一緒に挨拶。「どう、うまくなった?」と言われてはにかみながらも小さくうなずく長女。お、自信あるね。まああれだけ練習していればそりゃそうか。

 

その方はほかのお姉さんの弓選びをお手伝いしているみたいだったので、別の店員さんに「弦を張り替えてもらえますか」とお願いしました。その間に、そうだ、小野アンナとクロイツェルもついでに買っておこう。カイザーのペータース判があればそれも……と楽譜コーナーを見ていると、長女がお店の中の一点で立ち止まってしまいました。どうやら、ケースコーナー。

 

かわいい色がたくさんあって目移りしますが、彼女はひとつのケースを指差して「これが欲しい」と言い出しました。おいちょっと待て。楽器屋で「これが欲しい」と言う危険について誰か教育していないのか。ああっ! 責任者、私!! 教育してなかったよ! 全身にあぶらあせをかきながら、モノよりもまず値札に注目。

 

……ん、悪くないね。これくらいなら。

 

そういえば、と思い出したことがありました。コンクールで一番の賞を取ったら、好きな色のケースを買ってあげる、と約束したのでした。長女はきっと覚えていなかったでしょう。ですがケースを買ってやるなら今がチャンスです。

 

1/4サイズのケースは置いていなかったので取り寄せで配送していただくことに。長女はずーっと「ケースは持って帰れないの?」とぶーぶー文句を言っていましたが、楽しみを後日にとっておくことで納得。

 

分数ヴァイオリンのケースを買うのはもったいないかなとは思ったのですが、二女も弾きますし、そのころには長女も1/2サイズでしょうし、それにそこまで高くないし……まあいいかな、と。

 

そのころちょうど弦の張り替えが終わり、軽く音を出させてもらいました。こういうときの長女はとても控えめで、ppppp(ピアニッシシシシモ?)くらいの音でE線をサラサラと弾いて、「うん、いい」とニッコリ笑います。それを聴いていたイタリア人店員が「うまくなったねー! サマになってる!」とサマになっている日本語で褒めてくれて、また有頂天な長女さん。

 

超ご機嫌で家に着いてからも練習に身が入りました。ときおり褒めてくれる第三者の前に引きずり出すのもいいな、なんて思ったものです。

 

ではまた。




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