人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

拍がとれない

長女の話です。

 

前から「そうかな?」とは思っていましたが、ピアノの先生に指摘されて確定しました。長女は拍をとるのが苦手です。いえ、正確に言うと拍を意識していません。

 

八分音符と付点四分音符とか、十六分音符とか、三連符とか、その手のものは意識しているのです。だから譜読みも苦労せずにスイスイできます。

 

が、なんとなく「あれ?」と思ったのは、ヘンデルソナタ4番を練習しているときです。


ヘンデル/ヴァイオリン・ソナタ 第4番 エネスコ - YouTube

 

最初のレ~ファ~ラ~ミィ~~~~という部分。普通の感覚ではこれだけゆっくり弾くと「四分音符かな?」と思うものですが、楽譜には八分音符で記されています。そして続く「ミィ~~~~」とながーく延ばすところは二分音符と八分音符のスラー。ですから最初の「レ・ファ・ラ」を「いち・に・さん」と拍をとったなら「ミィ~~~~」は「いち・に・さん・し・ご」と延ばすことになります。

 

うちでは最初にお手本の演奏を聴かずにいきなり弾かせるようにしています。すると彼女はウェーバーのカントリーダンスのような曲調で弾き始めました(こんなに速くはありませんでしたが)。

 

「速い速い速い! 長女さん、この曲は八分音符がAdagioの速さだよ。メトロノームでAdagioにあわせてごらん」

 

メトロノームの速度が正解とは言いませんが、目安としてわかりやすいのでそう教えています。すると「かっ……ちっ……かっ……ちっ……」とメトロノームがゆっくりと揺れ、それにあわせて、「レ~~ファ~~ラ~~」と弾き始めたのでホッとしてほっといたら、「ミィ~……ド~~レ~~ファ~~」と、二分音符のミよりもそのあとにくる八分音符のほうを長く弾き出したのです。そのときようやく確信しました。

 

こいつ、拍を勘でとってるな。

 

今まで練習してきた曲の拍は比較的分かりやすかったんです。八分音符はたいてい二つか四つまとめて書かれていたし、複雑なところはお手本CDで耳で覚えていたので、そこまで苦労してこなかったわけです。だからこの子はソルフェージュもほぼ完璧に出来ているものと思い込んでいました。

 

しかし思い返してみると、ヴェラチーニのジーグで出てくるソロ部分の譜読みに苦労したり、コレルリのラ・フォリアのゆっくりと低く弾く部分の拍がとれなかったり、いろいろと「おや?」と思う部分はありました。

 

で、ヘンデルソナタ4番です。

 

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こんな拍がしょっちゅう出てくるわけです。私も特別に訓練したわけではないため、このリズムをとるまでに結構時間がかかりました。長女もずっと読むことができずに頭に「???」マークが浮き続けながら弾いています。仕方ないので八分音符に分解したり三十二部音符に分解したりしながら、ようやく読み取ることができた、というほど。ソルフェージュをやっているからといって、この手の譜読みが即座にできるようになるわけでもないのですね。

 

次に、四拍子の曲の中でも三音でワンセットになっているような十六分音符の連続のシーン、と書いてわかりますでしょうか……。クライスラーのプレリュードとアレグロの後半部分に出てくるここなのですが、「タタタ・タタタ・タタタ・タタタ・ターーーー」と聴こえませんか。聴いているイメージだと三連符っぽいのですが、譜面上では十六分音符の連続になっています。

 

つまり耳では

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このように聴こえています。

 

しかし拍をとるためには小節を意識しなければなりませんから

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このような意識で弾かないといけない、ということなのです。

 

……なんのこっちゃ、ですか? はい、私もそうです。ただ、メトロノームを4拍ごとにチーンとなるように設定しても、ここを混乱なく弾けないと、もっと難しい曲になったときに対応できなくなります。

 

一番の悩みは、自分にできないことを「できるようになれ」と、どう教えればいいのやら。高度になればなるほど、親の出来ることは減っていくわけで。

 

悩ましいことです。

 

ではまた。

 




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