拍と私のジムノペディ
二女は拍の感覚に優れている、とバレエ、ピアノ、ヴァイオリンの先生が皆さんこぞっておっしゃいます。そして長女のほうがその感覚は足りていないとも聞いています。もちろん「長女ちゃんだっていい感覚を持っているんだけど、二女ちゃんのほうが一歩抜きん出ている感じ」とフォローはしてくださいますが。
姉妹で比べられることへの親の複雑な心境はこのさい置いておくとして。
私は今まで、拍という概念を気にしたことがありませんでした。主に聴いていたのがロックだったからというのもあるでしょう。多少のズレも「グルーヴ感」というウソっぽい言葉でごまかしてきた気がします。
さて、そんな私は一つだけ最初から最後までピアノで弾ける曲があります。それがこれ。
ずっと好きなんです。「涼宮ハルヒの消失」から? いえいえ、映画は観ましたけど、違います。新海誠監督の短編映画? いえいえ、観ましたけどそれも違います。
……スネークマンショーです。伊武雅刀と鵜飼るみ子が、「……好き?」「……嫌い」とささやきあう、なんともエロティックなボイスドラマ(当時はレコード)なのですが、そのほかのトラックが本当にスプラスティックなコメディなので、とてつもない衝撃を受けたものです。
そもそもスネークマンショーはナンセンスなギャグコントのあいだに当時の最先端のポップミュージックが挟まれる、最高にイカした(死語)エンターテインメントでして、Y.M.Oやシーナ&ザ・ロケッツ、ドクター・ケスラー、クラウス・ノミが………………語りだすと止まらないのでやめます。
ギャグとエッジポップの中に、突然放り込まれたトラック「愛の匂い(ジムノペディ)」は一種独特な雰囲気を持っていて、サティの持つ静かな狂気の中に男女の狂気(性的興奮)をミックスしたような、退廃的快楽を感じさせるものでした。
で、どうしても弾きたくて楽譜を取り寄せ、がんばって暗譜し、弾けるようになったのですが、この曲のもっとも大事な部分は「拍」なんですね。付点二分音符が続く楽曲の中で、いかにその体内リズムを保ったまま曲を続けられるか。自分はリズム感を育んでこなかったため、今でもどうしてもうまく弾けないままでいます。言ってしまえば、「気持ち悪い演奏」になってしまいます。
ジムノペディは、1番~3番の構成になっていて、そのすべてを本当に上手に弾いている音源にあまり出会えません。上に貼り付けた演奏はどなたのものかわかりませんが、これがもっとも理想に近いのでよく聴いています。その他の方の演奏はどんなに有名なピアニストのものでも、納得できませんでした。拍が気持ち悪いのです。
拍をとれる、ってすごいんですね。再認識です。
実はもう一曲だけ弾けるようになりたい曲があるのですが、楽譜を探しても探しても見つからなくて、諦め気味です。ネットにゴロゴロしていました。これ、違法じゃないのかな……。曲はコチラ。
George Winston - Longing/Love - YouTube
google検索で「箱根彫刻の森 天気予報」と打ち込むと、「音楽」と自動的に出てくるくらい、みなさん知りたかったんだなあ、と。
耳コピで少しがんばってみましたが、まだまだ全然ダメダメです。でも、いい曲ですよね。
ではまた。