「弾く」という道
長女は先日ヴァイオリンのコンクールを入賞で終えることができました。それなりに自信になったでしょうし、今年最後の舞台をなんらかの形で結果を残せたこと、両親やピアノの先生から基本的には褒められたこと、そのあたりで安心していたようです。
が、ヴァイオリンの先生からコメントをいただかないと、コンクールは終わらない。私が撮影した映像を早速メールでお送りしました。
結果に対する講評をいただきました。その内容を読んで、妻と私は顔を見合わせます。
長女、学校から帰宅。「先生からメールきたー!?」当然ながら教えてくださる先生の講評が一番気になる長女。たんたんと内容を伝えました。
・よく弾けている。けど、ただのよく弾けている演奏。
・音楽的に没頭しておらず、心から楽しんでいない。
・無意味な音が多い。表情の多彩さにも欠ける。
・コンクール前にレッスンしたときの演奏のほうが数倍よかった。
長女、じっ、と黙って聞いていて、肩を震わせて泣き出しました。自分では自信があったはずなのです。でも、今の心構えでは音楽家にはなれない。今だからこそ、今にこそ言っておかなければならない、という師の愛の鞭のありがたさは、まだ半分くらいしかわからないかもしれません。
しかしあの和波孝禧さんですら、名のあるコンクールで優勝したとたん、師が急激に厳しくなり、「この人は私を嫌いなのだろうか」と本気で思ったといいます。それくらい、芸の道は厳しい。正直、家族も「どのあたりがダメだったのだろう……」と悩みました。でも悩んでいるくらいなら、もっと高みを目指したほうがいい、と心をひとつにします。
長女は妻にしがみついて泣き続けたあと、グッと涙を拭いてヴァイオリンを手にしてスケールを弾き始めました。
その気持ちが続く限り、両親は応援するよ。
本当に厳しい。厳しいけど、それが本物への道と信じて
長女に先生の真意を、わかる言葉でなるべく伝えたいと思います
ではまた。