人生を劇場にしない

ヴァイオリン経験皆無の親が、迷走しながら長女を導く軌跡

5歳のパガニーニコンチェルト

誰それが何歳のときにどこそこのオーケストラと共演した、何歳のときになになにの曲を弾いた、などという話はよくあることで、ヴァイオリニストを売り出すにはもってこいの肩書きだったりします。ですので肩書きだけでその子の評価を定めることはできませんが、少なくとも周囲の大人が期待して世に出そうとするくらいの光る何かがあるのは事実でしょう。五嶋龍くんが7歳でパガニーニのコンチェルトを弾いて名をあげ、その後どうなったかはご存知のとおり。

 

 

小さな子が弾くわけですからエラーはたくさんあります。が、その中にひとつでも「おっ」と思うところがあれば、それは磨けば光る部分なのかもしれません。それを判別できる人は先物買いのアンテナが敏感なのだと思います。もちろん途中で辞めてしまう子もいるでしょうし、根気が続かず手を抜いた練習を続け、世に出なくなる子もいるでしょう。でも、そんなほかの誘惑をかいくぐった子が10年後、とんでもない大物になっていたりするからおもしろい。競走馬に近い成長物語になるんでしょうね。

 

というわけで5歳の子がパガニーニのコンチェルトを弾いている映像がこちら。

 

まだ5000回を少し越えたくらいの視聴数ですが、この演奏はすごい。アンナ・リーちゃん、身体のわりに大きなヴァイオリンなので、これは1/4ですかね? まさか1/2ですかね? なんにせよ、音感がよくてしっかりと音程をあわせてくるところ、弓の扱いがやわらかいところなんて、素晴らしいと思います。

 

で、彼女が14歳になったとき、メニューイン国際で3位と聴衆賞を受賞したツィゴイネルワイゼンがこちら。

 

これまたすごい。その後2012年に再度チャレンジして、2位を獲ったというのですから、コンスタントにハイレベルな演奏ができるということですね。心臓の強さも魅力。

 

この方(もう、この子、なんていえないですね。立派なレディですし)、ジュリアードで川崎雅夫さんに師事したようです。川崎さんは第18回の学コン(当時はまだ毎コンと言われていたんでしょうね)に優勝し、ディレイ門下に入った方です。こぼれ話ですが、第18回の全日本学生音楽コンクール、あの人が九州大会小学生の部で2位を獲得しています。ちなみに今年は69回ですので51年前の話ですね。

 

人に歴史あり。5歳の子がオーケストラと共演したからすごいのではなく、今輝いている演奏家が、実は5歳のときにこんな演奏をしていたからすごい、ということを教えてくれた映像でした。

 

しかし5歳でオケと共演ってどんだけ見込まれたんでしょうね?
お金さえあればなんとでもなる、というのとはちょっと違う気がします

 

ではまた。